

現状では腰痛治療に関するものすごい量の情報がインターネット上に溢れています。その中には、特定の治療法を批判したり、効果がないと断じたりするような情報も少なくありません。特に「セルゲル法」に関しては、「効果がない」「エビデンスが乏しい」といった声を目にすることがあるかもしれません。
しかし、これらの情報は本当に正しいのでしょうか?
日本国内で唯一セルゲル法を行っている私たちILC国際腰痛クリニックでは、腰痛に悩む多くの患者さんが、そうした情報に不安を感じながらも、手術以外の選択肢を求めて来院しています。この治療では、なにより患者さんが安心して治療を受けられるよう、科学的根拠に基づいた正確な情報を提供することが最も重要です。この記事では、セルゲル法(ディスコゲル~Discogel)に関する最新の医学論文とエビデンスを徹底的に解説し、「効果がない」という誤解がなぜ生まれ、信じられてしまうのかを解説していきます。
セルゲル法は、変性した椎間板に特殊なジェル状の液剤(Discogel)を注入し椎間板にできた亀裂を塞ぐことで、髄核の漏出を防ぐ治療法です。2007年にフランスで開発されたこの治療方法では、椎間板内の水分が保たれ、クッション機能の低下を抑えることが期待できます。また、ディスコジェルによって椎間板内の圧力が下がり、結果として神経への圧迫軽減が可能となります。
「セルゲル法に関する論文は症例報告レベルしかない」という批判を耳にすることがありますが、これは明らかな誤解です。
海外では、多数の患者さんを対象とした臨床研究や、治療後の長期的な経過を追跡した研究が数多く発表されており、その有効性は科学的に裏付けられています。
Marciaらによる2025年の研究[1]では、セルゲル法治療後10年間の長期フォローアップが行われました。この研究では、患者さんの痛みの程度を示すVASスコア(Visual Analog Scale)と、日常生活における障害度を示すODI(Oswestry Disability Index)において、はっきりとした改善が認められています。これは、セルゲル法が一時的な効果に留まらず、長期にわたって痛みを軽減し、患者さんの日常生活動作(ADL)を改善する効果があることを明確に示しています。
Theronらによる2010年のフランスでの前向き研究[2]では、頸椎椎間板ヘルニア患者57例に対してセルゲル法を実施した結果、89.5%の有効率が得られました。合併症は報告されておらず、頸椎という難易度の高い部位においても本治療法の有効性と安全性が確認されています。
さらに、La Torreらによる2020年のイタリアでの前向き研究[3]では、腰椎椎間板ヘルニア患者94例を対象に短期・長期双方の経過を追跡した結果、90.6%という高い有効率が示されました。治療前のVASスコア(痛みの指標)は平均8.4であったのに対し、治療後には2.8まで低下し、痛みの劇的な改善が認められています。また、合併症は一例も報告されておらず、安全性の高さも実証されています。
これらの研究はいずれも多数の患者を対象とした研究で、セルゲル法の有効性が繰り返し実証されていることを明確に示しています。インターネット上の断片的な情報に惑わされることなく、信頼できる医学論文に目を向けることが重要です。
どんなに優れた治療法でも、患者さんの症状や病態に合っていなければ、十分な効果は得られません。椎間板の変性や損傷が原因で起こる腰痛に対して特に有効ですが、骨の構造的な問題が主である場合や、神経の圧迫が非常に強いケースなど、セルゲル法だけでは対応が難しい場合も確かに存在します。不適切な診断や適応外の患者さんに治療を行った場合、期待する効果が得られず、「効果がない」と評価されてしまう可能性があります。
ILC国際腰痛クリニックでは治療前にMRIなどの精密な画像診断を徹底し、患者さん一人ひとりの病態を正確に把握した上で、セルゲル法が最適な治療法であるかどうかを慎重に判断します。適応がなければ治療は行われません。この適切な診断と適応の見極めによって、国際的な論文で示されている数値と同等以上の高い有効率を達成しています。
インターネット上には、個人の体験談や、特定の治療法を否定する意図を持った情報も存在します。これらの情報が、科学的根拠に基づかないまま拡散されることで、誤解が広まってしまうことがあります。また、新しい治療法に対する懐疑的な見方や、既存の治療法との比較において、情報が偏って伝えられることも一因です。
「セルゲル法は効果がない」という主張は、最新の医学論文や世界的な実績に照らし合わせると、誤解に基づいていることがお分かりいただけたかと思います。セルゲル法は、椎間板の変性による腰痛に対し、科学的根拠に裏付けられた有効な治療選択肢の一つです。
腰痛は様々な原因で引き起こされる症状の総称です。一人ひとりの患者さんの状態により、その対応は一律ではありません。まずは、自分の症状や状態がどのような傾向や問題があるかをきちんとした専門医に相談することが必要です。
そのうえで、手術を受けるべきか、運動療法や薬物療法等の保存療法(手術をしない)で様子を見るべきか、さらには体への負担を最小限に抑える低侵襲な治療法を選択するかとなりますが、セルゲル法は実際に効果の見込める低侵襲な治療方法として、検討に値する治療方法なのです。
ILC国際腰痛クリニック 公式サイト:https://ilclinic.or.jp/
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[1] Marcia, S. (2025). Long-term clinical efficacy of radioplaque gelified ethanol … PubMed. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40198365/
[2] Theron, J. (2010). Percutaneous Treatment of Cervical Disk Hernias Using Gelified Ethanol.
[3] La Torre, D. (2020). Percutaneous intradiscal injection of radiopaque gelified ethanol: short- and long-term functional outcome and complication rate in a consecutive series of patients with lumbar disc herniation.